ブックタイトル日本ねじ研究協会 1983年11月

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概要

日本ねじ研究協会 1983年11月

使うことと知ること北郷薫*工業技術は「使うためにものをつくること」をこれだけの能力のあるヘロンでも,くさびとね目的とし,自然科学は「自然現象の因果関係を知じが斜面の原理に基づくことを明確には認識できること」を目的とする。ず,くさびとねじにおける「力の倍率」の計算に工業技術においては,つくったものが使用目的失敗している%しかし他の三つの単一機械,てを満足することができれば,一応の目的を達成しこ,輪軸,連滑車(せみ)については正しい認識たことになる。設計論の用語でいえば,つくったに達し,全てを「てこの理」によって説明し・こものが所期の機能をもっていればよいわけである。れらの三単一機械については「力の倍率」を正しところが,工業技術製品の機能は,物理あるいはく計算している。ヘロンの研究をみても,斜面は化学現象としてあらわれるから,工業枝術製品のてこにくらべるとはるかにむつかしいものであっ機能が,自然科学的研究の対象になるのは当然のことである。しかし,工業技術製品の機能が全て・自然到学的に解明されているわけではない。製品の機能が自然料学によって説明されなくても,その製品が役に立てば人々は喜んでそれを使用する。たことが了解できる。斜面の理はヘロンよりさらに千数百年も後のステヴィン(1548~1620)及びガリレオ(1564~1642)によって,はじめて正しく理解され,斜面による「力の倍率」を正しく計算できるようむつかしい説明は不要であるか少くなくとも余計になった2も斜面の理が理解できてはじめて,くなことであると考える。石器時代の人間の最良の道具は石でつくった「くさび」である。この石のくさびは何万年というさびとねじの理が理解できる。人間がくさびを使用しはじめてから何万年もたった後にやっと,「くさびの自然科学への入口」ができたのである。長い石器時代を通じて使用されたが,石器時代のしかも,その科学は当時の最高の頭脳の人々だげ人々に「くさびの力学」は発生しなかった。石器時代にくらべればはるかに近年に近い紀元前100年頃の人であったヘロンは,著書「力学」に理解できるものであって,多くの人々は,斜面の理を理解することなくくさびやねじを使用したに相違ない。において,てこ,輪軸,くさび,ねじ,連滑車(使うことと知ることの間には,このように大きせみ)の五つの単一機械について記述し,これらい差があるが,それにもかかわらず人間がものをの機械における「力の倍率」を論じている。ヘロつくり使うことができるのは,人間が経験によるンはすでに,三角形の重心が三中線の交点である試行錯誤の方法をもっているからである。くさびことを知っていたし・現代の消火ポンプと同じ原の角度を小さくすれば,くさびの先端が鋭くなり理の消火ポンプを発明し,噴出する蒸気の反動で倍力効果が大きくなることは,くさびをつくって回転する物理的玩具のほカミリ空気の圧力で水が押使用してみればわかる。しかし,あまり角度を小し出されて噴水となるヘロンの球を発明し,まサイフォンの原理にっいても論じている。*日本ねじ研究協会副会長,工学院大学機械工学科たさくし過ぎると,くさびが細かくなり過ぎて弱くなるから,実際に使用するくさびは中間の適当な角度30度~60度がつけられる。つくる側と使日本ねじ研究協会誌14巻11号(1985)一525一