ブックタイトル日本ねじ研究協会 2002年10月

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概要

日本ねじ研究協会 2002年10月

目-ー応力腐食割れ自体のメカニズムはきわめて複雑であるが,基本的には,「アノード溶解」および「水素脆化」の両説に大別されるといわれている13).アルミニウム合金ボルトでは,使用雰囲気に注意するとともに,異種金属接触による電気化学的な要因による腐食に注意しなければならない,標準電極電位の差が大きいほど,また電解液に暴露されている面積比が大きいほど腐食の進行が早まる.湿気雰囲気中の結露しやすいとを確認し,不適切な工程設計によるアルミニウム合金ボルトの部分的な結晶粒の粗大化が,強度の安定を阻害する恐れがあると説明している.また,アルミニウム合金の鍛造の各工程におけるひずみの累積が1を超えると破壊が生じやすくなるため,ひずみの上限を設けるとともにボルト全域にわたりひずみが均一となるような素材径の選択方法を提案している。糠噸環境において,アルミニウム合金ボルトと標準電極電位の差が大きいステンレスなどが接触してはならない.避けられない場合には,局部電池据え込み後方押出し蝕1■↑'が形成され,腐食が促進されないように接触面を完全に絶縁するなどの対策が必要となる,5.高力アルミニウム合金ボルトの設計と製造方法高力アルミニウム合金ボルトは,通常,高い引張り応力下で使用され,特に首下フィレットやねじ山の谷底は,三軸応力下で応力集中が生じる。っまり,多数の切欠きが存在する丸棒をねじりながら引張応力を負荷している状態に等しい。そのために機械要素設計的には,首下フィレットや不完全ねじ部の谷底の丸め加工を施し,応力集中係数をなるべく低下させる処置がとられる.また,材料特性として,7000系アルミニウム合金は,結晶粒径による降伏応力への影響度(ホールペッチの関係)が少ないものの,ボルト全域にわたり,微細均一な組織状態にすることにより,強度,靭性,疲労強度に優れた高力アルミニウム合金ボルトを作り出すことが可能と考えられる。図7は一般的なアルミニウム合金ボルトの冷間鍛造工程である。ボルト形状は,前方押出し,据込み,後方押出し,ねじ転造の組合せにより成形される。松木11)は,アルミニウム合金A7050がある領域のひずみで,結晶粒が粗大化するこミリ1前方押出しねじ転造}一せん断中間工程頭部成形とねじ転造図7ボルトの冷間鍛造工程筆者らは,材料内部の変形挙動が複雑な7000系アルミニウム合金鍛造における,T7等の工業的に標準化された熱処理を前提とした再結晶組織の粒径予測やそれによる材質制御を行う手段として,剛塑性有限要素法シミュレーションを用い,各種鍛造方法による相当塑性ひずみ分布を計算し,そのひずみ分布と再結晶組織の平均粒径の関係を求めた.図8は据込みと前方押出しによる相当ひずみεと試験片の各方向の平均結晶粒径dとの関係である。実験に供した素材は,熱間圧延丸棒材であり,熱間圧延特有の軸方向に伸長された繊維状組織を呈していた,図8の(a)の軸直角断面では,0<ε〈0.25において一旦平均結晶粒径dが粗大化するが,その後減少し,ε>0.5でほぼd=15μmに落着いている.(b)の断軸断面では,もともと軸方向に伸長した結晶粒が0<ε〈0.25において急激に微細化し,相当ひずみε>0.5の領域において繊維状組織の痕跡が消日本ねじ研究協会誌33巻10号(2002)一297一